DXやAIの話題が続いたので、今回はあえてその手前の話をします。「ICT化」——要するに、パソコンやクラウドといった基本的なデジタルの道具を、仕事でちゃんと使える状態にすることです。

「今さらそんな話?」と思われるかもしれません。でも実際のご相談では、AIの話をしているうちに「そもそもファイルが個人のパソコンの中にしかない」「共有はUSBメモリか印刷」という状況が見えてくることが、決して珍しくありません。そして、それは恥ずかしいことではないと私たちは考えています。

家の土台と同じで、地味だけど全部を支えている

ICT化とDXの関係は、家づくりに似ています。DXやAI活用が「間取りや内装」だとすると、ICT化は「基礎工事」。基礎ができていない土地に立派な内装を入れても、うまく機能しません。

たとえば、AIに議事録の要約を頼むには、その議事録がデータとして存在し、取り出せる場所にある必要があります。ファイルが誰かの机の引き出しの中(あるいは頭の中)にある限り、どんな便利な道具も出番がないのです。

世の中はどこまで進んでいるのか

総務省の「令和6年通信利用動向調査」(2025年5月公表)によると、クラウドサービスを利用している企業は全体の8割を超えています。しかも、利用した企業のうち88.2%が「効果があった」と回答しています。

8割という数字を「うちは遅れている」と読む必要はありません。むしろ注目したいのは88.2%のほうです。導入した企業のほとんどが効果を実感している——つまりクラウドの活用は、当たり外れの大きい賭けではなく、堅実に効く施策だということです。

最初の一歩は「ファイルの置き場所を1つにする」

ICT化というと大ごとに聞こえますが、最初の一歩は具体的でシンプルです。

  • 会社のファイルを置く場所を、クラウド上の1か所に決める
  • 「最新版はそこにあるものだけ」というルールにする
  • メール添付やUSBでのやり取りを、少しずつその場所の共有に置き換える

これだけで、「あの資料どこ?」「どれが最新?」という日常の小さな摩擦が目に見えて減ります。そして数か月後、AIやDXに取り組みたくなったとき、必要なデータがすでに揃っている状態になっています。

おわりに

流行の言葉から入るより、足元の基礎から。遠回りに見えて、それがいちばん確実な順番だと私たちは考えています。まずは自社のファイルが今どこにあるか、思い浮かべてみてください。それがICT化の現在地です。

参考

総務省「令和6年通信利用動向調査の結果」(2025年5月30日公表)
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin02_02000178.html

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